孤島の鬼

日々の備忘録。文章表現、感情表現の練習の場です。更新はなるべく毎日・・・

【読書+将棋】獄門島と将棋ウォーズの状況【ネタバレあり】

横溝正史の獄門島を読了。3人の娘が殺される様が雰囲気あってとても美しい。物語の最後にも出てくる、封建的、あまりに封建的な、という章名が表わす通りの事件で、部外者がとやかくいう問題ではない気がするね。生き死にが今よりも切羽詰まったような状況だと、知恵遅れの三姉妹よりも島の運営を優先する方が理屈が立つ、というのも理解できる。

犯人3人組に社会的な制裁がくわえられないこと、計画者は既に死んでいること、計画者を生前苦しめた人たちにも別に何も起きないこと、金田一が来島したこと自体が事件のきっかけになっていること、事件のきっかけの一つが誤報であること、被害者は死んでしまってもまあ仕方がないと島の者からも思われていること、生活がかかっていること、事件に対しては身内の話で他人がとやかく言うもんじゃない、という理屈が働いてしまうことなど、誰が悪いというわけじゃないけど一旦事件が動き出してしまえば歯止めが効かない構図になっているのが面白い。トリックやアリバイなどの理屈の部分はそれほどの目新しさはないが、横溝正史の面白さは舞台設定の華やかさ、その語り口の、盛り上げ方が上手なところにあると思う。

根本的なところで言うと、閉鎖的な島の中で、島のみなの生活を支えていた主人が死んで、みなの生活にやや陰りが見られるところ、これを維持するための殺人という理屈に対してはなかなか反対ができないのだと思う。この理屈だけで行くと見立てをする意味があるのかは疑問。バレる可能性も出てくるので、みんなのため、というよりは計画者の意思に背けなかった、ということだろう。3種の独立した殺人と言いながらも共通の目的のために行うのならば、それは連続じゃないの?という気もするが、見せ方というか勢いで誤魔化されてしまう。そう、理屈だけで考え出すいろいろとあらはあるのだが、この作品は物語のとてつもない魅力で、細かいことはいいんだよ!と納得させるだけの力を持っている。

前回の記事の時に、読んでいると夏の風景が思い出される、としたが読み終えてみると思いっきり秋と明示されていた。しかもこのことが金田一を悩ますことになる名台詞「きちがいじゃが仕方がない」につながるなんて、奇妙な符合に少々おどろく。

是非一読してほしいが、今や映像作品の方が楽しそうな気もするね。

 

将棋ウォーズについて。4級になってから勝てない!勝率は4割5分前後。どうももう一皮剥けないといけないと思うのだが、中盤の動きがいまいち?この辺りは手筋を覚えないといけないのかなあ。詰み将棋については後半ぼろぼろと駒が入ってくると逆転できるのだが、中盤が打ち合いにならないとなすすべなく押し切られる展開が多く、フラストレーション。接戦をものにするという感じがあまりしないのよね。相手の隙をついて刺す、というような指し方になっているので中盤力の強化が課題だなあ。うむむ。