孤島の鬼

日々の備忘録。文章表現、感情表現の練習の場です。更新はなるべく毎日・・・

マジックアワー

2008年頃の映画。三谷幸喜脚本、監督。

昔の古き良き時代の映画、ビリーワイルダーをオマージュしたような作り。三谷幸喜は群像劇を描くのが巧いと思ってたんだけど、この時はあんまり。自身の思い入れのある映画を描くことで力が入っちゃったんだろうか。

映画のセットみたいな町のすかご町。そこにはマフィアがいて、主人公はボスの女と良い仲になってしまった、劇場のオーナー、ビンゴ。妻夫木聡が演じてるんだけど、どうも、なあ。ビンゴと良い仲になる深津絵里は、かわいいが、これもはまり役かというとどうも。深津絵里の顔立ちにはどうも知性や理性を感じて、本能的なところに刺さるものや訴えるものが、あんまりないんだよね。

二人の関係がマフィアのボスにばれてしまったからさあ大変。コンクリを脚に付けられて海に沈められそうになるところで、ビンゴが一計を案じる。自分はボスが会いたがっていたデラ富樫という伝説的な殺し屋と知り合いであり、自分の口利きがあればデラ富樫と会えるのだが、と交渉を持ちかける。誘いに乗ったボスはビンゴに5日の猶予を与え、デラ富樫を自分の前につれてくるよう命じるのだが、ビンゴがデラ富樫と知り合いであるというのは、その場しのぎの嘘だった。5日でその本当の顔は誰にも知られていない伝説の殺し屋、デラ富樫を見つけるのは難しく、早くも4日が過ぎてしまった。

最終日にビンゴがひらめいたのは、デラ富樫が見つからないなら、役者に演じてもらえばいいじゃんということで、売れない俳優を見つける。ここから俳優をだましつつ、ボスをだましつつというコメディ、それもまたアンジャッシュみたいなネタが始まるのだ。すれ違いネタとで言うのでしょうか。ラーメンズもなんか似たようなことやってましたが、なんか感心するなあって程度で爆笑ってなかなかならないよね。それでもボスと初対面する際に、何度も同じシーンを演じて、ナイフをなめまわすのは面白かった。そこが面白いぐらいであとはなんとなーくだらだらと過ぎてしまう。

ビンゴも行動様式もいまいち理解できない。というのも彼が劇場のオーナーという点があまり描かれてないからだと思う。

ラストシーンは失笑。何でそうなるのか、よく分からないままに勢いだけで終わってしまう。ナンセンスも良いところ。

タイトルや雰囲気が好きだっただけに、どうして脚本がこうなっちゃうの?と非常に残念な一本となった。

深津絵里とボスの西田俊之のコンビは結構はまったと感じたらしく、次回作素敵な金縛りでもコンビを組むこととなった。この映画もナンセンスの極み。やりたいことはわかるんだけど、いまいち一般には受けなかった残念な映画でもある。